CASE STUDY

ケーススタディ

インサイツ自主調査レポート
家庭訪問してみませんか
   消費者から直接的に発せられる「声」を分析する手法を「定性調査」といいます。代表的な手法は、先にご紹介したフォーカスグループインタビュー(FGI)で、数値データとして処理できないデータ、つまり「声」を集めるわけです。声に限らず、消費者の行為や態度などを研究することもあります。また、そもそもまだ仮説がない段階において、きっかけを得るために行われる場合もあります。

   ところで、消費者の直接的な声に耳を傾ける定性調査を、このように分類して考えることもできます。それは、「消費者に来てもらう」場合と、「消費者を訪問する」場合です。グループインタビューでは、まさにお願いして「消費者に来てもらう」わけですが、こちらが消費者に会いに行く定性調査があります。それが「家庭訪問」です。一般的には「訪問調査」などと言われます。

   さて、それでは「消費者を訪問する」ことの意義はどこにあるのでしょうか。

   ひとつは、消費者が該当製品を利用している状況をリアルに目視できることでしょう。化粧品であれば鏡台や洗面などを、家電なら設置場所を、自動車であれば駐車場を見学することもできます。また、まさに「生活者の現場」においてインタビューするということは、実際の利用状況を絡めて情報を聴取することができるため、より生活に密着した成果を得ることができると考えられます。

   もうひとつ、重要な視座があります。それが、「消費者の声の代表性」です。

   先にあげたグループインタビューを例にとりましょう。何でも構いませんが、冷蔵庫を話題に取り上げたとします。調査に参加した被験者はグループインタビューの席上で、冷蔵庫のデザインや容量について、あるいは価格やブランドについて話すかもしれません。しかし、家のなかの利用者はたいていの場合において、参加した被験者だけではなく、場合によっては両親や子どもなども含まれているはずです。つまり、被験者はグループインタビューの席上で、家の成員の冷蔵庫に対する評価を代弁して語ることになるわけです。

   当然、グループインタビューではそれを事実として受け止める必要があるでしょうし、そもそも参考意見程度で理解しておくより他にありません。ところが、家庭訪問ではこうした課題を乗り越えることが可能になります。それはまさに、家庭の成員に直接接触することができるからこそです。家庭訪問におけるインタビューでは対象となるメインターゲットがいますが、弊社では、スタッフが話の流れに注意を払いつつ、会話の機微を察知するなどして、他の成員に話をふりむけるなど、楽しい雰囲気を維持しつつも、より多くの意見を拾えるよう努めています。これは家庭訪問だからこそ得られる成果だと思います。

   さて、一方で家庭訪問においては注意すべき事項も多くあります。いろいろと制限はありますが、きわめてプライベートな空間で行われるため、お客様にはご理解を頂きたい部分でもあります。最後に三点ほど、代表的な注意事項をあげておきたいと思います。

   ひとつめは、「大人数を避けること」です。訪問する被験者の家の状況にもよりますが、大人数で訪問しては被験者が委縮し、コミュニケーションにも影響があるため、可能な限り一件当たりの参加人数を少なくしています。多くのお客様にご参加頂きたいところですが、例えば30平米の部屋に10人でお邪魔するのは現実的ではないと思います。

   次に「写真撮影」です。商品の利用状況を把握するため、家庭訪問では写真撮影をするのが一般的ですが、もちろんタブーはでてきます。仏壇や神棚の撮影は基本的にタブーですし、寝室の撮影も歓迎されない場合がほとんどです(お客様が寝具メーカーであれば話は違うのですが)。そのため、写真撮影においては大人数で撮影しないこと、あらかじめ撮影範囲などを確認するなどの事前準備にご協力頂いています。

   最後に、先の「消費者の声の代表性」とも関連しますが、家庭訪問においては家の成員の皆様に許可を頂くことが重要です。メインターゲットの方に許可を頂いたものの、他のご家族の皆様が知らなかった、ということでは当然インタビューもスムースにいきません。ここをしっかり確認しておくことが、家庭訪問の質を向上させることにも繋がってくると思います。