CASE STUDY

ケーススタディ

インサイツ自主調査レポート
激増する娯楽施設と今後のニーズ
    90年代に中国留学していた筆者が、近年とりわけ感慨深く思うのが中国における娯楽施設の充実度です。

   中国では日本などと比べると、いわゆる地域の祭りや行事に乏しく、地域の若者たちが集まる場が少ないと言われてきました。また、当時は商業施設も非常に少ない時代でもありました。90年代、若者たちが集まる場としてはスポーツがポピュラーなものでしたし、ネットカフェがようやく出現し始めた時代でもあります。ディスコもありましたが、どちらかというと欧米系の出向者や留学生が多く、カラオケも若者向きとは言えない節があったように思います。

   しかし近年、宗教的には各地で廟会などの伝統文化が再興したり、これまでには見られなかったようなエンターテイメント施設も多く建設されるようになり、日本と比べても遜色がなくなってきたように思われます。日本のように「地域単位」では依然として少ないとは言えますが、街の中心部には若者たちが集いやすいエンターテイメント施設が次々と建設されています。

   発展を続ける中国において、消費者たちが娯楽を享受しようとするなか、それに応えようと様々な業界が各種のエンターテイメントを取りそろえつつあるわけですが、果たして昨今の消費者のニーズとマッチしているのでしょうか。先月に引き続き、今回も少し趣向を変えて、昨今のエンターテイメントにかんする簡単な調査をご紹介したいと思います。

   調査は、インサイツが2016年5月に中国全土の1,000人を対象にインターネット調査を実施、エンターテイメント施設の利用経験と今後のニーズについて聴取しました。「これまでに行ったことのあるエンターテイメント施設は?」という設問に対する回答は以下のようなものでした。上位5つを上げてみます。
   1.カラオケ 76.9%
   2.プール 64.3%
   3.ビリヤード 53.6%
   4.ネットカフェ 46.4%
   5.ボウリング 38.4%

   昔から中国で見かけられた「カラオケ」が76.9%と最も高くなりました。これに「プール」が64.3%です。では、ここにいくつかの見方を加味したいと思います。ひとつは、「最近どのくらいの頻度で行っているのか」という頻度に関する質問です。上図に「週に1回以上利用している人の割合」を追記します。
   1.カラオケ 76.9%(20.5%)
   2.プール 64.3% (27.8%)
   3.ビリヤード 53.6%(25.9%)
   4.ネットカフェ 46.4%(23.5%)
   5.ボウリング 38.4%(20.3%)

   後ろのカッコ内が「週に1回以上利用している人の割合」です。このように見ると、特に「プール」を利用している人は他に比べてリピート率が高いことがわかります。次に、各年代ごとの上位5つを上げてみたいと思います。
21-30歳(N=255)31-40歳(N=496)41-50歳(N=249)
カラオケ77.3%(1)76.0%(1)78.3%(1)
プール65.9%(2)63.3%(2)64.7%(2)
ビリヤード57.3%(3)53.4%(3)50.2%(3)
ネットカフェ55.7%(4)47.8%(4)34.1%(5)
ゲームセンター41.2%(5)
ボウリング41.7%(5)41.0%(4)
*括号内表示排名

   さて、年代別で見ると「カラオケ」「プール」「ビリヤード」がいずれも上位三位を占めているのに対し、20代では「ゲームセンター」が高く、30代と40代では「ボーリング」が高いという特徴があるようです。20代では「ボウリング」へ行ったことのある人は30%以下であり、一世代前の娯楽になっているのかもしれません。

   では、今後ニーズが高まっているエンターテイメント施設は何でしょうか。同じように同様の選択肢を提供し、家の近くにあったら嬉しいエンターテイメント施設について聴取しました。上位5つのみを掲載します。
   1.プール 47.9%
   2.ボウリング 30.3%
   3.カラオケ 30.0%
   4.ビリヤード 24.9%
   5.バスケットボール 18.8%

   20%以下はバスケットボールのほか、ゲームセンターや室内サッカー場などがあげられています。また、ここで半数近くの人が「プール」と回答しているのは興味深い結果だと思います。ところが、ここで上げた選択肢以外にも「その他」で多く寄せられた自由回答があります。1000名中、全体の20%近くが回答した、その施設とは何だと思いますか?

   答えは「フィットネス・ジム」です。

   自由回答で20%近くの人が回答するのはかなり高いと言ってよく、多くの人に期待されていることがわかります。かつては、スポーツやカラオケなどの娯楽が消費者の集まる格好の場所であったわけですが、今後は健康志向へ移行していくのかもしれません。

   なお、先月に続き、今回のエンターテイメントをテーマにした調査データを、読者の皆様に無料で差し上げます。ご希望の方は6月末までにインサイツまでお問い合わせください。