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調査報告
中国高所得者の生活実態

  成長が続く中国市場において、企業間の競争は日に日に激しくなっている。多くの企業が多次元化した市場ニーズに応える為に、研究開発を繰り返しながら新しい商品を市場投入している。また細分化された市場、ターゲット戦略によって目標とする消費者の生活スタイルや購入動機を把握し、「スモールマーケット・ビッグシェア」という発展計画を実現しようとしている。ただここで忘れてはならないのが、消費者の消費行為は具体的な製品の購入行為に体現されるだけでなく、その生活スタイルに現れる観念や価値観が購入決定への潜在的な後押しとなっているということだ。

  サーチナ総合研究所では、目標とするターゲットの消費観念や生活スタイルを全面的に把握し、購入時に潜在する「駆動力」を探るべく、『中国消費者の生活実態2008-2009』で実施した中国高所得者層のアンケート結果の分析を試みた。下記は不動産、旅行、金融投資に関するデータをまとめたものである。中国の経済発展の地域差を考慮し、ここでは高所得者の定義を世帯月収15,000元以上とした。

1、不動産
1、住宅購入のきっかけ
高所得者の消費特徴:投資ニーズが上昇、自己居住ニーズは下降。
データ元:『中国消費者の生活実態2008-2009』サーチナ総合研究所
  モニターの住宅購入動機において、高所得者層では「投資」を目的とした人の割合が全体よりも3.22%多く、「結婚」、「子供の誕生」など自分の家庭のニーズによる住宅購入については、全体よりもそれぞれ3.91%、4.09%低い結果となった。このデータから、高所得者層では投資ニーズによる住宅購入の傾向が明らかだと言える。またこの現象は消費行為の発展段階と一致しており、自己の生活ニーズが満たされた高所得者層の住宅購入は、投資ニーズや心理的欲求を満たす為の購入に自然に移り変わっている。
2、海外旅行
1、モニターの最近1年間の海外旅行回数
高所得者の消費特徴:海外旅行回数が全体よりもかなり高いレベル。
データ元:『中国消費者の生活実態2008-2009』サーチナ総合研究所
  モニターの最近1年間の海外旅行回数を見てみると、高所得者層ではその回数が明らかに高く、1年5回以上行くという人については、全体と比べて9倍もの差があった。高所得者層では海外旅行というやや高価な出費に耐えられる経済力があること、彼らが生活の質を追求する傾向にあることがこの結果を導いたものと考える。彼らは価格にはとらわれないが、製品の品質やイメージを重視し、製品が自分に与える体験や心理的欲求を満たすことを目的とする消費特性を持っていることもその理由だろう。
2、モニターが抱える海外旅行の「ネック」とは
高所得者の消費特徴:「費用が高い」ことに対して、全体と比べて敏感度が低い。
データ元:『中国消費者の生活実態2008-2009』サーチナ総合研究所
  海外旅行における「ネック」として、すべてのモニターが「費用が高い」ことを挙げているが、高所得者層の回答ではこの割合が15%程低い結果となっており、価格敏感度が相対的に低く、製品の品質やイメージを追求して心のニーズを満たすという彼らの消費特徴が現れている。また全体と比較して、高所得者層では「資料が揃っていない」ことをネックとして挙げている人がやや多く、この層が製品に対する品質への細かな要求と高い自信や独立心を持ち合わせ、製品の選択や判断における自分なりの基準を設けていることが覗える。製品選択における自主性が一般の人よりも高く、自分が判断する際の資料をやや重視していることからこの結果が生まれているものと考える。
3、投資・資産
1、モニターの個人資産についての理解度
高所得者の消費特徴:投資や個人資産についての理解度が全体より明らかに高い。
データ元:『中国消費者の生活実態2008-2009』サーチナ総合研究所
  上のグラフのとおり、高所得者層の投資や個人資産に関する理解度が全体よりも明らかに高く、「とても理解」、「比較的理解」の割合が全体をそれぞれ8.83%、6.81%上回っていた。彼らの財産計画には先進意識があり、またこの種の情報にとても敏感なことと、彼らは一般の人に比べてやや積極的に情報を取得、勉強していることが、比較的高い理解度へと繋がっているようだ。この傾向は製品の購入時にも現われており、多くの高所得者は特に高価な製品購入時において、多くのルートから情報を入手し、製品情報をよく理解した上で購入決定をしている。
2、モニターの財産計画は
高所得者の消費特徴:元本保証よりもハイリスク・ハイリターン。
データ元:『中国消費者の生活実態2008-2009』サーチナ総合研究所
  高所得者層では保証性の高い貯蓄、国債などへの選択率が全体よりも大幅に下回っており、それぞれ5.78、2.37ポイント低かった。貯蓄や国債はローリスク・ローリターン商品に属し、投資テクニックや知識に対する要求がやや低いが、高所得者の選択はハイリスク・ハイリターンな投資商品(株式など)に傾注しており、例えば株式を選択している人に関しては全体より4.17ポイント高い結果となっている。相対的には、高所得者では、一般の人よりも未来の収益に対してリスクを負う覚悟ができているといえる。
4、高所得者層における生活特徴のまとめ
1、欲求段階がふつうの人よりも1段高く、多くが親和の欲求から自己実現の欲求に属する
  マズローの欲求段階説によると、人間の欲求は5段階のピラミッド(上記左図)からなっており、底辺から始まって、1段階目の欲求が満たされると、1段階上の欲求を志すという。中国では一般に1、2段階をまとめて「温飽段階」(暖かく衣服を着られ、お腹いっぱい食べられるという一般庶民生活レベル)、3、4段階を「小康段階」(いくらかゆとりのある生活)、5段階を「富裕段階」と呼んでいる(上記右図)が、仮にモニター全体の購入心理が温飽段階と小康段階にあるとすると、世帯月収が15000元以上の高所得者層ではすでに小康段階と富裕段階に介在している。例えば住宅購入においては、自己居住ニーズから投資ニーズに発展しているし、自動車購入においては、交通の便利さよりも自分のステータスやポジションなど自己表現を実現を目的としているし、海外旅行であれば、単に異国の風景を観光することを目的にせず、生活の品質や心のニーズを満たす欲求を果たしている。彼らは非価格主導性消費を特徴としており、製品から受ける自己体験や心のニーズを満たすことを重視している。
2、自主的消費意識が強い
  自主的な消費意識により、必要とする製品の関連情報を自らが理解し、製品を買う前における製品紹介資料に対するニーズや独自の判断基準を持ち合わせている。具体的には以下のような特徴が見られる。

  2-1、自主性

  消費者が製品情報に接する際、広告やプロモーションなどの受動的な接触は避けられないものだが、高所得者層では、特に大型製品の購入時においてその製品に対する情報取得が一般の消費者よりも積極的で、多くのルートを通じて客観的にその製品の認知に努めている。

  2-2、理性的な消費

  高所得者に衝動的な消費の可能性がないとは言えないが、一般の人と比べて購入時における独自の選択力、理性についてやや突出している。高所得者層は広告の情報に影響されて簡単に購入行為に移ることはなく、自分の判断により客観的な選択をしている。特に大型製品については、より系統的な製品紹介から客観的に理解している。彼らの商品選択は企業のマーケティング力や製品そのものが持つ客観的品質やイメージに大きく影響されており、製品細部にわたる品質にまで、より高い要求を持っている。
3、利益の為にはリスクを辞さない
  投資や資産管理において、高所得者層では、リスク負担能力が一般の人より高く、同時に彼らの自信や独立的、理性的な自己実現の基礎となっている。投資面においては、彼らはハイリスク・ハイリターンの株やファンドを選択する傾向にあり、貯蓄や国債など保証性の高い運用手段の選択率がやや低い。ハイリスク・ハイリターン投資には多くの知識を必要とし、時間や精力を費やさなければならないが、彼らは将来の利益に対して自ら努力し、相応の損失を負担する覚悟を持っている。
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